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2024年6月の胃カメラ/大腸内視鏡の実績・急性胃粘膜病変とは?

[2024.06.30]

 

6月の消化器内視鏡実績

6月のほんじょう内科の内視鏡実績は、胃カメラが111件、大腸カメラが68件でした。

季節とはあまり関係ないかと思われますが、今月は急性胃粘膜病変(AGML)の症例が複数ありました。

 

急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal
lesion:AGML)

突然の激しい胃痛と吐き気の原因の一つに急性胃粘膜病変(AGML)があります。今回は急性胃粘膜病変について解説していきます。

 

急性胃粘膜病変とは

急性胃粘膜病変は突然の激しい胃痛と吐き気で発症します。

「水を飲むだけでも痛みが増すので何も口にできない」と訴えられるほどの強い症状をきたす場合もあります。

胃カメラ検査をすると、胃の広い範囲の粘膜が赤く腫れ、その中に多数の潰瘍が見られる特徴的な所見があることで診断されます。

急性胃粘膜病変・AGML

 

急性胃粘膜病変の原因は様々ありますが、アルコールや香辛料を多く使った料理、薬、ストレスが関与していることが多いです。

十二指腸まで病変が続いていることもあり、この場合は急性胃十二指腸粘膜病変(acute gastro-duodenal mucosal lesion : AGDML)と呼びます。

 

急性胃粘膜病変の原因

急性胃粘膜病変の原因は様々です。

頭痛や生理痛の際に服用する市販の鎮痛剤も急性胃粘膜病変の原因となります。

アルコール飲料や香辛料を多く使った食品も原因の一つです。

家庭や職場での精神的なストレスによって引き起こされることもあります。

成人になってから初めてヘリコバクター・ピロリ菌に感染した場合にも急性胃粘膜病変が起こります。

単一の原因を推定できる場合もありますが、原因を特定できないことも少なくありません。

 

薬物

鎮痛薬(ロキソプロフェンやジクロフェナクなどのNSAIDs)

副腎皮質ステロイド薬

抗生物質

 

食品・飲料

激辛の料理

ニンニク

アルコール

 

ストレス

職場や家庭などでの精神的ストレス

身体的ストレス(熱傷や脳の病気、手術、外傷、敗血症)

 

感染

ヘリコバクター・ピロリ菌

アニサキス

 

他の病気の影響

肝硬変

腎不全

呼吸不全

悪性腫瘍

 

医療行為

放射線治療

内視鏡検査

カテーテル検査および動脈塞栓術

 

急性胃粘膜病変の症状

急性胃粘膜病変は突然の激しい胃痛と吐き気で発症します。

痛みの強さは様々で、比較的軽い痛みのこともありますが、激烈な痛みのこともあり「あまりの痛みで水ですら飲めません」とおっしゃる患者さんもいます。

急性胃粘膜病変の方の10~20%で吐血や下血が見られます。コーヒーを淹れたあとの残りカスのような吐物や真っ黒なタールのような便をみたら、胃の病変からの出血を疑います。

出血量が多い場合は出血性ショックとなります。ふらつき、動悸、脱力、冷汗が出現し、立っていることすら辛くなります。

 

急性胃粘膜病変の治療

ランソプラゾールやオメプラゾールなどのプロトンポンプインヒビターやボノプラザンといった酸分泌抑制薬を服用します。

痛みや吐き気が強い場合は、入院での点滴治療が必要です。

吐血や下血が見られる場合は原則入院となります(当院では関連医療機関を紹介します)。

胃からの出血が多量で出血性ショックや高度の貧血に陥っている場合は、緊急入院のうえで輸液・輸血が行われます。

多量の出血が続いている場合は内視鏡的止血術が必要になることがあります。内視鏡的止血術にはHSE局注法やクリップ法、高周波凝固法、薬剤散布法などがあり、病変の状況に応じて適切な方法が選択されます。

 

まとめ

急性胃粘膜病変;AGMLについて解説しました。

急な強い胃の痛みと吐き気をきたす病気の一つに急性胃粘膜病変の可能性があります。

痛みが強いときは無理に食事を摂ろうとせず、胃カメラ検査を受けることを念頭に消化器内科を受診しましょう。

吐血や下血があり立ち上がるのも辛いときは、多量に出血している可能性があります。この場合は、迷わずに救急車を呼びましょう。

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