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2024年3月の胃カメラ/大腸内視鏡の実績・冬でも細菌性腸炎にご注意を!

[2024.03.31]

 

3月の消化器内視鏡実績

3月のほんじょう内科の内視鏡実績は、胃カメラが107件、大腸カメラが64件でした。

今月はほんじょう内科で進行胃癌、進行大腸癌の診断がそれぞれ1件ずつありました。「もっと早く見つけて診断できればよかったのに」という悔しい思いがこみ上げて来ます。皆様に気軽に安心して検査を受けていただき、その結果胃癌や大腸癌を早期で発見したいです。これからも「つらくない胃カメラ、いたくない大腸カメラ」を目指して行こうと思います。

 

冬でも細菌性腸炎にご注意を!

新型コロナウイルスによる会食の自粛がなくなり、昨年春から会食やお酒の機会が増えています。外食する際にはご家庭では食べない食品を口にすることが多いです。

そのせいもあって、この冬は感染性腸炎、特に細菌性腸炎の患者さんが例年よりも多く受診されました。

細菌性腸炎の原因となる食材は様々で、食べてから発症するまでの潜伏期が思いのほか長いものが多いです。

 

感染性腸炎の主な原因食材と潜伏期間、症状
病原微生物 原因 潜伏期 症状
カンピロバクター 鶏肉 2~10日 下痢・血便・熱・腹痛
サルモネラ 鶏卵 8~48時間 下痢・熱・腹痛
腸炎ビブリオ 魚介 1日以内 嘔吐・腹痛・下痢・熱
エルシニア 豚肉 3~7日 腹痛・発熱
腸管出血性大腸菌 牛肉・野菜 2~8日 血便・腹痛・下痢
その他の大腸菌 肉・野菜 12時間~5日 下痢・発熱
エロモナス 貝類 1日以内 下痢・腹痛
ノロウイルス 生ガキ・糞便・吐物 3~40時間 下痢・嘔吐
ロタウイルス 糞便・吐物 2~3日 下痢・嘔吐・発熱

 

カンピロバクター腸炎の原因

細菌性腸炎の原因微生物として最も多いのがカンピロバクターです。感染源は加熱不十分な鶏肉が圧倒的に多いです。「とりわさ」「とりさし」はもちろんのこと、「焼き鳥」や「鳥のから揚げ」は中心部まで十分に加熱されない場合に感染源となります。調理器具を介する感染もあり、焼き肉店での感染もしばしばみられます。カンピロバクター腸炎は外食での感染が多いことも特徴のひとつです。

カンピロバクター腸炎の原因菌は、Campyrobacter jejuni, Campyrobacter coli で、鶏、牛、豚、羊の腸管内に常在菌として存在します。

 

カンピロバクター腸炎の潜伏期

潜伏期間は2~5日なので、発症直前の食事は原因となりません。週末に外食して、月曜日以降に発症することが良くあります。このため週明けの月曜日~水曜日に医療機関を受診する方がしばしばいます。

 

カンピロバクター腸炎の症状

下痢便は腐敗臭があり胆汁色の水様便が多いです。およそ半数の症例で血便がみられます。

発熱が2~3日、下痢腹痛は1週間ほど続きます。まれに、6週間以上症状が持続することがあります。

発症から1~2週後に、関節の痛み、アキレス腱の痛み、排尿困難と排尿時の痛み、眼の充血やかゆみが出現することがあり、Reiter症候群と言われています。

 

カンピロバクター腸炎の診断

ほんじょう内科では細菌性腸炎を疑う症例に超音波検査を行います。超音波検査では炎症を起こしている部位を同定して原因菌を推測することができます。カンピロバクター腸炎の炎症は、盲腸・上行結腸とS状結腸に多くみられます。

また、便培養で病原菌を確定できることがあります。ただし、便培養は検体を採取する時期によっては病原菌を検出できないことがあります。検査結果が判明するまでに数日かかります。

下痢・腹痛が長く続く場合は大腸カメラを行うことがあります。大腸カメラでは回盲弁の潰瘍が最も特徴的で、カンピロバクター腸炎のおよそ半数にみられます。内視鏡では潰瘍性大腸炎やサルモネラ腸炎との鑑別が問題になります。

 

カンピロバクター腸炎の治療

カンピロバクター腸炎は自然に治癒することが多く、水分補給と対症療を行い数日で軽快します。

症状が強い場合や、長く続く場合には抗菌薬を内服します。マクロライド系抗生物質が第一選択でクラリスロマイシンをよく使います。セフェム系抗菌薬は無効です。ニューキノロン系の抗菌薬には耐性の場合があり注意が必要です。

 

まとめ

細菌性腸炎の中でも最も多くみられるカンピロバクター腸炎について解説しました。親しい人と食事の時間を共にすることは大切な楽しみですが、外食で普段食べないものを口にすることで感染性腸炎を起こすリスクがあります。お店選びやメニュー選びは慎重さが大事ですね。

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