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2023年6月の胃カメラ・大腸カメラ~大腸憩室

[2023.06.30]

急に暑くなってきました!6月27日の札幌の最高気温は31.2℃でした。

気温が高い季節は脱水や熱中症が気になりますが、食品の取り扱いにも注意が必要です。細菌性腸炎は例年夏に多い傾向があり、5月ころから当院を訪れる患者さんにも多くなっています。

細菌性腸炎ではカンピロバクターという菌が検出されることが最も多いです。このほか、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌が代表的な食中毒の原因菌です。常温に長時間置かれた食品は口にしないでくださいね。

 

消化器内視鏡の実績

ほんじょう内科の6月の内視鏡実績は、胃カメラが104件、大腸カメラが61件でした。

内視鏡の予約は7月1日の時点で、胃カメラ大腸カメラともに土曜日は4週先まで埋まっております。平日の内視鏡は1~2週後のご予約をお受けできます。

 

大腸憩室

6月は腹痛のために受診された方の中に「大腸憩室炎」と診断した方が多くいらっしゃいました。

大腸粘膜に栄養や酸素を送り込む動脈は大腸の外側から内側へ大腸の壁を貫いています。動脈が貫く部分の大腸の壁は周りの壁より弱く薄くなっています。大腸憩室は、この弱い部分が長い年月をかけて外側に圧し広げられてできます。大腸憩室を内視鏡で観察すると数ミリメートルから2センチメートルの大きさの窪みに見えます。一方、CTでは大腸の壁の一部が外側に丸く飛び出るような形の変化が観察できます。

大腸憩室を持っている方の割合は10.9%から39.7%との報告があります。年齢を重ねるにつれ憩室がある方が多くなり、85歳以上では約66%方に大腸憩室が見つかります。

大腸憩室を持っていても、多くの方は生涯を通してトラブルを起こしません。しかし、大腸憩室をのある方のうち約5%の方は「大腸憩室出血」や「大腸憩室炎」といった大腸憩室の合併症を患います。

大腸憩室炎・ほんじょう内科

大腸憩室出血

大腸憩室出血はご高齢の方に多く、特に腰痛や関節痛のため服用する消炎鎮痛薬(NSAIDs)や血液を固まりにくくする効果のある抗血栓薬を服用している方、血液透析を受けている方に起きやすいです。ほとんどの場合、前触れなく真っ赤な血便が出ますが、お腹の痛みはありません。

大腸憩室出血の約7割は自然に血が止まりますが、出血が続くと血圧が下がり意識が遠のくこともあります。

CT検査などで大腸憩室出血を強く疑った場合は、入院して緊急内視鏡検査が行われます。大腸カメラで出血の原因となっている憩室が確認されれば、クリップやゴムバンド、HSE液の注入で内視鏡的止血術を行います。しかし、大腸憩室は通常複数あり自然に止血した場合には、出血の原因となった憩室を特定できないこともしばしばあります。

内視鏡で止血ができないことが稀にあり、その場合は動脈塞栓術というカテーテル治療や手術治療が必要になります。

大腸憩室出血は治療が成功しても、4割近くの症例で出血を繰り返します。再発を予防するため、可能であれば消炎鎮痛薬(NSAIDs)や抗血栓薬(アスピリン)の中止を検討します。

 

大腸憩室炎

大腸憩室の内側で病原微生物が増殖することで起きる炎症です。

持続的な腹痛、発熱が主な症状です。吐き気や軽い下痢を伴うこともあります。大腸憩室炎の腹痛は持続的で体を動かしたり歩いたりするとお腹に響くことがあります。日本人の大腸憩室炎の7割はお腹の右側の痛みです。これは、日本人を含むアジア人の大腸憩室はお腹の右側にある上行結腸にできやすいからです。ただし大腸憩室はお腹の左側にある下行結腸からS状結腸にもできるため、高齢の方ではお腹の左側が痛くなることも少なくないです。

大腸憩室炎のリスクファクターには喫煙や肥満があるとされています。

大腸憩室炎は、問診と身体診察、血液検査に加え、超音波やCTといった画像検査で診断します。特にCT検査は大腸憩室炎の診断や重症度の評価に有用とされています。

大腸カメラでも大腸憩室炎の所見を認めることがありますが、ほかの検査で大腸憩室炎の診断ができている場合には痛みがとれるまで大腸カメラを行わないことが多いです。大腸がんの合併の有無を判断するために、痛みが治まった後の大腸カメラ検査が推奨されています。

大腸憩室炎とまぎらわしい病気がいくつかありますが、その代表が急性虫垂炎です。このほかに、急性胆のう炎、急性胃腸炎、骨盤腹膜炎、腹膜垂炎といった病気との鑑別していきます。

80~90%の症例で抗菌薬の点滴または内服で治療できます。多く場合外来での点滴通院でよくなりますが、症状が強い場合は入院治療が必要になります。なぜなら、大腸憩室炎が重症化すると腸に穴が開く「穿孔」や腸の外側に膿がたまる「膿瘍」をおこして手術をしないと命に係わることがあるからです。

大腸憩室炎はいったん治癒しても、繰り返し発症することがある病気です。その再発率はおよそ10~40%です。科学的に有効性が証明された再発予防方法はないため、たびたびこの病気に悩まされている方もいます。

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