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健診で肝機能障害

肝臓は身体のどんな臓器ですか?

お腹の右上にあります。男性で1200~1400g、女性で1000~1200gの重さがあり、お腹の臓器のなかで最も重いです。

肝臓はどんな働きをしていますか?

肝臓の主な働きは次の3つです。

タンパク質の合成と栄養の貯蔵

食べ物は胃腸を通る間に消化吸収されます。そして吸収された栄養は始めに肝臓に集められます。吸収されたタンパク質は肝臓でアルブミンや凝固タンパクといった血液中のタンパク質に形を変えたり、他の臓器で利用しやすい大きさに分解されたりします。また、糖や脂肪などエネルギー源はいったん肝臓で蓄えられ、必要な時に必要としている量を全身に供給します。

解毒

多くのお薬、アルコールは肝臓で代謝されて便や尿に排出し易いかたちに変えられます。また、腸内細菌が作り出すアンモニアなどの体には有害な成分は、門脈という血管を通って肝臓に運ばれ、そこで無害な物質に変えられます。

胆汁という消化液を産生

脂肪やタンパク質の消化吸収をするための胆汁という消化液を作っています。胆汁は十二指腸に運ばれて食物と混ざります。肝臓が弱って胆汁が作られなくなると胆汁の成分のビリルビンが体にたまってしまい黄疸の症状がでることがあります。黄疸になると、全身のかゆみ、吐き気、食欲不振が出現してきます。また、茶色い尿と黄色い白目黄色い肌が現れます。

肝臓の数値について

GOT(AST)

肝臓を構成する主な細胞の「肝細胞」が炎症や癌によって傷害されると血液の中に漏れてきます。急性肝炎やアルコール性肝障害で高い値をとることが多いです。ただしGOTは筋肉や心臓の障害でも高い値をとる場合があるため、他の検査数値とあわせて総合判断することが重要です。

GPT(ALT)

肝臓を構成する主な細胞の「肝細胞」が炎症や癌によって傷害されると血液の中に漏れてきます。慢性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎で高い値となり易いです。

γ-GTP(GGT)

胆管上皮細胞が障害されたときに血液に漏れ出てきます。アルコール性肝障害でしばしば高い値をとります。肝硬変、胆管細胞癌、胆石症でも高い値となることが多いです。

肝障害の症状は?

肝臓の病気のほとんどが無症状であるため「沈黙の臓器」と呼ばれています。健康診断で肝臓の数値が高い方のほとんどは、体の不調を感じていません。肝機能障害の原因が肝臓癌だったとしてもかなり病期(ステージ)が進行しないと症状がでないことがほとんどです。このため、無症状でも肝臓の数値が高い方は「肝臓専門医」に相談することをおすすめします。

肝機能障害の原因になる病気にはどんなものがありますか?

無症状の方が健康診断や人間ドックなどで肝障害を指摘されて見つかる可能性がある病気には次のようなものがあります。

  • ウイルス性肝炎
  • 薬物性肝障害
  • アルコール性肝障害
  • 非アルコール性脂肪肝
  • 肝臓癌(肝細胞癌、胆管細胞癌)
  • 肝臓以外(胃や大腸など)に原発がある転移性肝癌
  • 胆石症
  • 自己免疫性肝炎
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • IgG4関連疾患
  • ヘモクロマトーシス(鉄分の代謝異常)
  • ウイルソン病(銅の代謝異常)
  • 甲状腺疾患
  • 体質性黄疸
  • 門脈血栓症

肝機能障害の精密検査は?

CT検査 エコー検査

CT検査は効率よく肝臓の癌を見つけることができる検査です。造影剤を用いて血液や肝臓に色の濃淡をつけると、早期の小さい肝臓癌も診断することができます。肝臓に流れ込む「門脈」という血管が詰まる「門脈血栓症」の場合も造影CT検査が有用です。

エコー検査も肝臓のしこりを見つける検査の一つです。エコー検査では骨や肺、腸が邪魔して肝臓の一部が良く見えないことがあります。しかし一方で、胆石症はCTよりエコーが正確に診断できることが多いです。このため、CT検査とエコー検査を組み合わせて診断をすすめることが多いです。

血液検査

肝臓癌では血液検査でAFPやPIVKA-2といった腫瘍マーカーが異常値を示すことがあります。

また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスのような何年もの間肝臓に住み着いて時間をかけて肝臓をむしばんでいくウイルスが付いていないかを血液検査で調べます。
女性に多い自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変といった、免疫システムの異常で起こる病気があります。これらの病気は何年も無症状で経過するため、診断されずにいると気が付いた時には肝硬変になっていることがあります。これらの病気では血液検査で免疫たんぱくの量や種類の異常が見られます。

甲状腺ホルモン値の異常も肝機能障害の原因となることがあります。TSHという検査項目が甲状腺ホルモンの量の異常を鋭敏に反映します。
メタボリックシンドロームによる脂肪肝の診断を補助するため、血液検査では血糖や中性脂肪、コレステロールを併せてチェックします。
鉄、銅の代謝異常は先天性の肝臓病ですが、成人になって診断される方も少なくありません。フェリチンやセルロプラスミンといった項目を検査します。

肝生検

肝生検は、CT検査やエコー検査、血液検査を行っても診断を確定しきれない場合に行う検査です。この検査は2泊3日程度の入院が必要です。エコー検査で肝臓を観察しながら、生検用の針を脇腹から刺して肝臓の組織を微量吸い取ってきます。採取した肝臓の組織は病理検査に提出され、顕微鏡検査が行われます。

肝機能障害とアルコール

アルコール性肝障害は、お酒を良く飲む方の肝臓病です。病気になってしまうお酒の量には個人差があり、女性は男性より少ない量のお酒で肝臓を悪くすると言われています。γ-GTPは最もアルコールの影響を受けやすい検査数値です。
お酒が好きな方の場合、肝機能の数値が高いと「アルコールのせいなので、お酒を控えてください」と言われがちです。しかし他の深刻な病期が隠れていることがあるため一度はしっかりと検査を受けることをお勧めします。半年ちかく「アルコールのせいで肝臓の数値が高いから、お酒を控えるように」と言われ続けていた方が、「お酒をやめたのに数値がよくならなくて困っています。」と受診されたことがあります。検査をしてみたところ肝臓癌の一種で胆管細胞癌という病気でした。「肝障害はお酒のせい」と早合点するのは危険です。

食事の注意で改善する肝機能障害

脂肪肝はもっとも多い肝臓の病気です。脂肪肝を引き起こす主な原因は肥満とお酒です。このうち肥満が原因の脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝」と呼びます。この病気はほとんど無症状ですが、高率に糖尿病や高血圧といった生活習慣病を合併するようになります。また一部の非アルコール性脂肪肝の患者さんは肝硬変にまで病気が進行したり、肝臓癌を合併したりします。この病気には食事の工夫と運動による減量が効果的です。血糖を下げる薬の一部や中性脂肪を下げる薬が非アルコール性脂肪肝炎の改善を助けることがわかっています。

肝機能障害と薬・サプリメント

薬やサプリメントが原因で肝臓の数値が高くなることがあります。問診で、服用している薬やサプリメントについて詳しく教えてください。お薬手帳や、サプリメントの包装などを受診の際に持参するといいでしょう。

まとめ

肝臓病は症状が出にくく、いったん症状が出現したときにはすでに手遅れになっていることが少なくないです。また、肝臓の検査値異常の程度が軽くても深刻な病気が隠れていることがあります。
健康診断で肝機能障害を指摘された場合、「肝臓専門医」を受診してしっかり検査を受けてください。

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