血便
血便?下血!
「排便後にトイレットペーパーに血がついていた」「便器をのぞくと赤黒く血が混じった便だった」という経験はありませんか?
血便は消化管(食べ物の通り道)のどこかに病気ができて出血している徴候です。
便の色が真っ黒な場合を「下血」と呼びます。この場合、食道や胃からの出血を疑います。
便の色が真っ赤から赤黒い場合は「血便」と呼びます。大腸や肛門の病気のことが多いです。
長い間出血が続いていると、貧血を合併し疲れや息切れ、動悸、めまいを感じることがあります。
出血の原因
胃腸の粘膜に強い炎症が起きると血液がしみ出してくることがあります。
ポリープやがんの表面は食物や便が擦れるわずかな刺激で出血します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍や出血性直腸潰瘍では潰瘍の中の血管が切れて出血します。
下血(真っ黒な便)の原因
食道がん
早期の食道がんは、下血を自覚することはほとんどありません。
食道がんが進行した場合まれに下血を認めることがあります。
食道静脈瘤
持病に肝硬変がある方に発症します。
ほとんどの場合、腹痛を伴いません。出血量が多く、吐血を伴う場合が少なくないです。
胃がん
胃がんが原因の場合、下血のほかに腹痛や食欲低下を伴うことが少なくないです。
下血を自覚している場合は、すでに進行したがんであることが少なくないです。
胃ポリープ
胃ポリープは通常無症状ですが、胃の出口(幽門)に近いポリープや大きいポリープでは出血することが多いです。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
鎮痛薬を飲んでいる方の下血では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が見つかることがあります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍からの出血の場合は内視鏡手術が必要なことが少なくないです。
急性胃粘膜病変
多量の飲酒や鎮痛剤が原因です。激しい上腹部痛と嘔気を伴います。
胃静脈瘤
肝臓病を持病にお持ちの方に発症します。腹痛を伴いません。
出血量が多く、吐血を伴う場合が少なくないです。
下血とまちがいやすい「黒い便」
貧血の治療のため鉄分を補充する飲み薬を飲んでいる方では、真っ黒な便が出ます。
また、腎臓病のため身体にリンが溜まりやすい方のための薬でも便が黒くなることがあります。
血便(赤~赤黒い便)の原因
大腸がん
肛門に近い直腸のがんでは、痔核からの出血と紛らわしいことがあります。
大腸ポリープ
大腸ポリープの多くは無症状ですが、S状結腸や直腸のポリープで大きいものは血便をきたすことがあります。
潰瘍性大腸炎
長く続く腹痛、下痢、血便がおもな症状です。
潰瘍性大腸炎は、10代や20代の若い方でも起こります。
クローン病
長く続く腹痛、下痢、血便がおもな症状です。
クローン病は10代から20代で発症することが多い炎症性腸疾患です。
感染性腸炎
細菌に汚染された食品によって発症します。
腹痛、発熱、下痢、血便が主な症状です。
血便を起こす感染性腸炎にはカンピロバクター腸炎、サルモネラ腸炎、腸管出血性大腸菌感染症などがあります。
加熱不十分な鶏肉、卵、牛肉、ホルモン、レバー肉などが原因となります。
半日から5日の潜伏期間の後に発症します。
虚血性腸炎
大腸粘膜の血流が一時的に不足するために起こります。
便秘がちの方に発症しやすいと言われています。
急な下痢と腹痛で発症し、次第に血便となることが多いです。
およそ5~7日の経過で回復しますが、便秘の治療を怠ると繰り返し発症することがあります。
急性出血性直腸潰瘍
重篤な基礎疾患のため寝たきり状態の方に発症します。
腹痛を伴わず多量の出血となることが多いです。
急性出血性腸炎
抗生物質が原因で起こる病気です。
抗生物質の服用を始めてから数日後に発症します。
Klebsiella oxtocaという菌が関与していると考えられています。
発症時には水のような下痢で、途中から血便になることが多いです。
抗生物質の治療を中止すると改善します。
偽膜性腸炎
抗生物質が原因で起こる病気です。
抗生物質を始めてから1~2週間後に血便を伴う下痢、腹痛が出現します。
Clostridoides difficile という菌が増殖して毒素を排出することにより起こります。
大腸内視鏡検査では偽膜と呼ばれる特徴的な黄白色の半球状隆起がみられます。
治療にはメトロニダゾールやバンコマイシンが使用されます。
痔核
「いぼ痔」とも呼ばれます。
慢性の便秘や排便時の「いきみ」が原因になります。
妊娠出産がきっかけで発症する方もいます。
裂肛
「切れ痔」と呼ばれています。
硬い便を出したときや、頻回の下痢のときに肛門の粘膜が裂けて出血します。
肛門の痛みを伴うことが多いです。
血便・下血の治療
血便は症状が軽くても放置すると命にかかわる病気の可能性もあります。適切な治療を行うためには、正しく診断することが必要不可欠です。
血便は「相談するのが恥ずかしい」「内視鏡検査が辛そう」と受診をためらう方が多い症状ですが、診断の遅れで手遅れにならないためにも早めに消化器病専門医を受診してください。
当院では麻酔を使った大腸カメラを行っており、検査の苦痛が最小限になるよう努めています。受診を迷っている方は、ほんじょう内科にご相談ください。
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医
肝臓専門医・総合内科専門医
本城信吾 院長
南北線南平岸駅から徒歩6分、リードタウン平岸ベースにある消化器内科
ほんじょう内科
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