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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の症状

下痢や血便、腹痛が特徴の病気です。病気の勢いが強いときは食欲がなくなり体重が減ります。また、熱やだるさを伴うことがあります。

まれに、関節の痛みや皮膚の発疹がでます。

10歳台後半から40歳代で発病することが多いです。75歳以上の高齢者や幼児の発症はとても稀です。

潰瘍性大腸炎の原因

原因はまだはっきりと解明されていません。生まれつきの素因に、食餌、感染、ストレスといった環境要因が加わって、腸の免疫に異常をきたすと潰瘍性大腸炎を発症すると考えられています。

経口避妊薬や鎮痛剤の使用が発病に関与する場合があります。一方、虫垂切除を受けた方やタバコを吸う方は潰瘍性大腸炎にかかりにくいです。

日本国内では2014年時点で10万人あたり134.4人の患者さんがいます。日本では潰瘍性大腸炎の患者数がずっと増え続けています。ちなみにアメリカ合衆国では10万人あたりおよそ900人の潰瘍性大腸炎患者がいます。

潰瘍性大腸炎の検査

血液検査
  • 血液一般検査 貧血の程度を調べます。
  • CRP、LRG(ロイシンリッチα②グリコプロテイン) 炎症の程度を調べます。
  • 便培養 潰瘍性大腸炎と鑑別が必要な腸管感染症を調べます。
  • NUDT15遺伝子型 免疫調節薬の副作用リスクを評価します。
  • 血糖、中性脂肪、コレステロール 副腎皮質ステロイド薬の副作用を監視します。
大腸カメラ
  • 内視鏡で大腸粘膜を直接観察し炎症の範囲と炎症の程度を判定します。
  • 粘膜の一部を採取して病理検査(顕微鏡検査)を行います。
  • 潰瘍性大腸炎と鑑別が必要な病気(クローン病、腸結核、ベーチェット病、アメーバ性大腸炎、細菌性腸炎)との鑑別をします。
  • 潰瘍性大腸炎の治療効果の評価にも用いられます。
  • 大腸がんを合併することがあるため、定期的な大腸カメラを行います。

CT
  • 炎症の範囲や程度を推定します。
  • 穿孔や中毒性巨大結腸症といった手術が必要な病態の有無を確認します。
エコー検査
  • 繰り返し行えるため、経過を追うために用いられます。
  • 治療薬の効果を判定したり、炎症の再燃を監視したりします。
便検査
  • カルプロテクチンは白血球が出すタンパク質です。潰瘍性大腸炎では大腸粘膜に白血球が集まるため便中カルプロテクチンが増加します。
  • 便中カルプロテクチンを測定することにより炎症の程度を判定し、治療効果を判断することができます。

食事の注意

潰瘍性大腸炎と診断されている方でも、病状が落ち着いている場合には厳しい食事の制限が要りません。あまり神経質にならずにバランスの良い食事を心がけましょう。

便の回数が増え、下痢をしているときは次のような注意を心がけます。

  • エネルギーと水分はしっかりとりましょう。体力を回復しダメージを受けた大腸が治癒するのに必要です。ごはん、お粥、うどん、そば、じゃがいもなどは安心です。
  • 脂肪は腸を刺激して下痢をしやすくなるため、取り過ぎないようにします。炎症を悪化させるn-6系多価不飽和脂肪酸は、大豆油、コーン油、ごま油に多く、逆に炎症を鎮めるn-3系多価不飽和脂肪酸は、えごま油、しそ油、青魚に多く含まれています。
  • アルコールやカフェインを多く含む飲み物、炭酸飲料、香辛料は腸を刺激するため、控えましょう
  • 難溶性食物繊維を多く含む食品は腸に負担をかけます。山菜、キノコ、海藻、ゴボウ、れんこん、こんにゃく、とうもろこし、もやし、にら、プルーンは控えます。

薬物治療

5アミノサリチル酸(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®)

軽症の方から使われることが多い薬です。まれに、この薬を始めると腹痛や発熱が悪くなる方がいます。この場合はすぐに医師に相談してください。少な目の量から徐々に量を増やしていくと副作用が出にくいと言われています。炎症の範囲が直腸に限られている直腸炎型の場合や、飲み薬だけだと直腸にだけ炎症が残りやすい場合には注腸薬(ペンタサ®注腸)や坐薬(ペンタサ®坐剤)を用います。

副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)

中等症以上の症例で用います。炎症を抑える効果が強いですが、長くこの薬を飲むことで骨粗しょう症や高血圧、糖尿病などの副作用を引き起こすことがあるため、使用に習熟した専門医が処方します。副作用の少ない注腸薬(レクタブル®注腸フォーム)を用いることがあります。

免疫調節薬(アザニン®)

治療により症状や炎症が落ち着いた状態を寛解と言います。免疫調節薬は潰瘍性大腸炎の寛解状態を維持するのに役立ちます。副腎皮質ステロイド薬を中止すると再燃してしまう場合に用いられることが多いです。脱毛や白血球減少といった副作用がでる場合がありますが、あらかじめこの薬に対して副作用を起こしやすい体質かを調べる血液検査を行うことで、安全に治療できます。

抗TNFα抗体(レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー®)

白血球などの免疫担当細胞に炎症を引き起こす指示をおくるシグナル物質をサイトカインといいます。このサイトカインの一つがTNF-αです。抗TNF-α抗体はTNF-αが免疫担当細胞を刺激できなくすることで、過剰な免疫反応をおさえて炎症を鎮めます。

この薬は潰瘍性大腸炎の症状を改善し寛解状態を維持する効果があります。

レミケードとヒュミラは注射のくすりですが、ヒュミラには自宅で注射するための自己注射製剤もあります。

抗α4β7インテグリン抗体(エンタイビオ®)

炎症を引き起こす白血球の一つであるリンパ球が血液の中から大腸の組織に侵入するのを防ぎます。腸の炎症を抑えますが、他の臓器の免疫システムにはほとんど影響がないと考えられています。抗TNF-α抗体が効きにくい方にも効果があるといわれています。

抗IL-12/IL-23抗体(ステラーラ®)

大腸に炎症を引き起こすサイトカインのうち、インターロイキン(IL)12とインターロイキン(IL)23は潰瘍性大腸炎の病態に深い関わりがあります。抗IL-12/IL-23抗体は、これらの物質のはたらきを抑えます。

抗TNF-α抗体より感染症のリスクが低いと考えられています。

抗生物質(メトロニダゾール、シプロフロキサシン)

発熱、腹痛が強い場合、一時的に用います。潰瘍性大腸炎に細菌感染が加わった病態に効果があります。

外科治療

内科的治療で改善しない腸管の炎症が続く場合には手術治療を検討します。

大量出血や腸管穿孔、中毒性巨大結腸症といった命の危機が差し迫った病態に陥った場合は緊急手術が行われます。

潰瘍性大腸炎の方に大腸がんが合併した場合にも手術が行われます。

潰瘍性大腸炎に対する標準的な術式は大腸全摘・肛門管吻合術です。

日常生活ではどんな注意が必要ですか?

病状が安定しているときには日常生活に制限はありません。

ただし、油断して薬物治療を中断するとぶり返しやすいのがこの病気の特徴です。しばらくの間お腹の調子が良く保たれていても通院を中断せず、薬の治療を続けましょう。

潰瘍性大腸炎で治療しています。妊娠出産は可能ですか?

潰瘍性大腸炎の患者さんでも、しっかり治療を継続して6か月以上安定した状態を保てていれば、健康な女性と同様に妊娠出産が可能です。

妊娠中の薬の治療については、ほとんどの患者さんが不安に感じています。しかし、妊娠中の薬の影響より、潰瘍性大腸炎が悪化することのほうが母体だけでなく赤ちゃんの健康を危険にさらすことになります。自己判断での治療中断は絶対にやめてください。

潰瘍性大腸炎やその治療薬の影響で鉄分や葉酸といった妊娠中に多く必要な栄養成分が不足しがちになります。妊娠中は鉄分や葉酸をお薬で補充します。

潰瘍性大腸炎の患者さんは妊娠が判明した時点で、すぐに主治医に相談しましょう。使用中の薬について続けたほうがいいか、中止してもよいかを主治医が判断し説明してくれます。

授乳中の治療継続についても不安を感じる方がほとんどです。いくつかの薬は授乳中の投与が不適切と考えられていますが、5ASA、副腎皮質ステロイド剤、抗TNF-α抗体は問題ないとされています。

ご自分で詳しく調べたい方は国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」https://www.ncchd.go.jp/kusuri/ を見てください。

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