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クローン病

クローン病とは

下痢や腹痛が何か月も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。血便が出たり肛門の痛みがでたりします。病気の勢いが強い場合は体重が減り、熱がでて体がだるく、ぐったりします。関節の痛みや皮膚の発疹がでることもあります。多くの場合10台後半から20代で発病します。

原因はまだよくわかっていませんが、生まれつきの素因に加えて、食べ物、感染が関与して腸の免疫と腸内細菌が乱れた結果発病すると考えられています。経口避妊薬や鎮痛剤の頻回使用が発病に関与していると言われています。また北米やヨーロッパで発症率が高いことから衛生環境が良く動物性脂肪やタンパク質の摂取量が多いと発病しやすいと考えられています。タバコを吸わない人よりタバコを吸う人がこの病気にかかりやすいです。

主に小腸から大腸に慢性の炎症を起こしますが、口から肛門まで食べ物が通過する臓器のどこでも炎症や潰瘍を起こします。繰り返す口内炎(口腔内アフタ)や排便時の肛門の痛みを起こす「痔ろう」もクローン病の症状の一つです。

日本での罹病率は10万人におよそ27人で比較的まれな病気ですが、ずっと増え続けています。アメリカ合衆国では10万人に200人の罹患率で、日本もこれに近づいていくことが予想されます。

クローン病の検査

血液検査

貧血の程度、炎症の程度を調べます。

治療に用いる免疫調節薬の副作用を予想したり、副腎皮質ステロイド薬の副作用を監視したりします。

大腸カメラ

内視鏡で大腸粘膜を直接観察して、炎症の部位、程度、潰瘍の有無について調べます。粘膜の一部を採取して病理検査(顕微鏡検査)や細菌検査を合わせて行うことができます。クローン病の確定診断のためだけでなく、重症度の判断や治療効果の評価にも用いられます。

CT

腸の狭窄(狭くなって食べ物が通りにくくなった状態)や瘻孔(腸に穴があいて他の臓器に通じること)を診断します。また、腸の外に膿瘍(ウミの溜まり)ができていないかを調べます。

小腸造影レントゲン

小腸に潰瘍や狭窄がないか調べます。口や鼻から管をいれて小腸に造影剤を流し込む方法と、大腸カメラを用いて肛門から造影剤を流し込む方法があります。大腸カメラでクローン病の診断がついた場合でも病気の広がり(小腸型、小腸大腸型、大腸型)や特徴(「非狭窄、非穿通型」「狭窄型」「穿通型」)を判断することは、適切な治療選択につながるので、小腸の検査も行います。

カプセル内視鏡 バルーン小腸内視鏡

小腸の炎症や潰瘍を直接観察する方法です。カプセル内視鏡検査を行う場合はあらかじめパテンシーカプセルという偽のカプセルを飲んで、カプセルが肛門まで通り抜けることができるか確認してから、本物のカプセル内視鏡を飲みます。バルーン小腸内視鏡は小腸に狭窄がある場合の治療にも用いられます。

胃カメラ

クローン病は食道や、胃、十二指腸にも病変を作る場合があります。胃カメラではこれらの部位に病気の所見があるかを調べ、粘膜を少量採取して病理検査に出すことができます。

クローン病の治療

栄養療法

病気の勢いが強い時期には脂肪をほとんど含まず炎症を惹起するタンパク質の代わりにアミノ酸と糖質を主体とした成分栄養剤を飲用します。症状がおちついて病気が落ち着いた時期は通常の食事をとることができますが、食餌で悪化することもあるため注意が必要です。脂肪分が多い食品を控え、形が残りやすい食物繊維を少なくします。クローン病は長く付き合っていく病気なので、無理なく続けられる工夫をしましょう。

5アミノサリチル酸(ペンタサ®、サラゾピリン®)

軽症の方から使われることが多い薬です。まれに、この薬を始めると腹痛や発熱が悪くなる場合があります。この場合はすぐに医師に相談してください。

副腎皮質ステロイド

中等症以上の症例で用います。炎症を抑える効果が強いですが、一方で長くこの薬を飲むことで骨粗しょう症や高血圧、糖尿病を引き起こすことがあるため、この薬の使用に習熟した専門医が処方します。

免疫調節薬(アザニン®イムラン®)

治療により症状や炎症が落ち着いた状態を寛解と言います。免疫調節薬はクローン病の寛解状態を維持するのに役立ちます。抗TNF-α受容体抗体と併用すると治療効果を高めることがわかっています。脱毛や白血球減少といった副作用がでる場合がありますが、あらかじめこれらの薬に対して副作用を起こしやすい体質かを調べる血液検査を行うことで、安全に治療できます。

抗TNFα抗体(レミケード®、ヒュミラ®)

炎症を引き起こすため免疫担当細胞に指示をおくるシグナルをサイトカインといいます。このサイトカインの一つがTNF-αです。抗TNF-α抗体はTNF-αが免疫担当細胞を刺激できなくすることで過剰な免疫反応をおさえます。

この薬はクローン病の症状を改善し寛解状態を維持する効果があります。

レミケード®とヒュミラ®は注射のくすりですが、ヒュミラには自宅で注射するための自己注射製剤もあります。

抗生物質(メトロニダゾール®、シプロキサン®)

発熱や腹痛が強い時に用います。クローン病に細菌感染が加わった病態に効果があります。

外科治療

内科的治療で改善しない腸管の狭窄、内瘻、膿瘍形成の場合手術治療を検討します。また、大量出血は腸管穿孔、中毒性巨大結腸症といった命の危機が差し迫った病態に陥った場合は緊急手術が行われます。クローン病の肛門病変に対してはメトロニダゾール、副腎皮質ステロイド、抗TNF-α抗体などの薬物治療を行い、効果が不十分な場合に外科手術が行われます。

内視鏡治療

狭窄がある場合に内視鏡的消化管拡張術が行われます。細くなっている部分の長さが5㎝以下で、潰瘍や強い屈曲がない病変が適応になります。6~9割の症例で手術治療を回避することができます。ただし内視鏡的消化管拡張術を受けた方の2~5%に腸に穴があく穿孔などの合併症が起こるリスクがあります。

日常生活での注意

病気が落ち着いていても、油断して治療を中断すると腹痛や下痢などの症状がぶり返しやすいのが、この病気の特徴の一つです。調子が良くても通院を中断せず、薬の治療と食事の注意を続けましょう。

クローン病と妊娠・出産

クローン病の患者さんでも、しっかり治療を継続して安定した状態を保てていれば、健康な女性と同様に妊娠出産が可能です。クローン病活動期には妊娠する確率が下がるため、下痢や腹痛などの症状があるときは、焦らずにしっかりクローン病の治療を受けることが大切です。

妊娠中の薬の治療について不安に感じる方がとても多いですが、治療を継続することが重要です。妊娠中の薬の影響より、クローン病が悪化することのほうが母体だけでなく赤ちゃんの健康を危険にさらすことになります。自己判断での治療中断は絶対にやめてください。

クローン病やその治療薬の影響で鉄分や葉酸といった妊娠中に多く必要な栄養成分が不足しがちになります。妊娠中は鉄分や葉酸をお薬で補充します。

クローン病の患者さんは妊娠が判明した時点で、すぐに主治医に相談しましょう。使用中の薬について続けたほうがいいか、中止してもよいかを主治医が判断し説明してくれます。

授乳中の治療継続についても不安を感じる方がほとんどです。いくつかの薬は授乳中の投与が不適切と考えられていますが、5ASA、副腎皮質ステロイド剤、抗TNF-α抗体は問題ないとされています。

妊娠・授乳と薬について詳しく調べたい方は国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」https://www.ncchd.go.jp/kusuri/ を見てください。

 

 

 消化器病専門医・消化器内視鏡専門医

 肝臓専門医・総合内科専門医 

 本城信吾 院長

 

 

南北線南平岸駅から徒歩6分、リードタウン平岸ベースにある消化器内科

ほんじょう内科

北海道札幌市豊平区平岸1条12丁目1番30号 メディカルスクエア南平岸2F

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