「腹部単純CT」は即日撮影
札幌柏葉会病院との診療連携で「腹部単純CT」が当日撮影できるようになりました
こんにちは。札幌市豊平区平岸の ほんじょう内科(消化器内科・内視鏡内科) です。
腹痛はよくある症状の一方で、原因は本当に幅広く、「様子を見てよい腹痛」と「急いで判断すべき腹痛」が混ざっています。
当院では 2025年8月から、札幌柏葉会病院との診療連携 により、必要な方に 腹部単純CT(造影なし)を当日撮影できる体制を整えました。
今回は、腹痛の鑑別(見分け方)と、単純CTが役立つ代表的な急性疾患、そして実際に連携CTをきっかけに診断へつながった症例について、わかりやすく解説します。
腹痛の診断は「場所・経過・伴う症状」が大切
腹痛の原因は、胃腸だけでなく、胆のう・膵臓・尿路(腎臓や尿管)・婦人科系、時に血管の病気までさまざまです。
まずは次の3つが重要な手がかりになります。
- 痛む場所(右下腹部、左下腹部、みぞおち、背中、脇腹 など)
- 痛みの経過(急に強くなった/じわじわ増悪/波がある)
- 伴う症状(発熱、吐き気・嘔吐、下痢、血便、排尿時痛、血尿 など)
診察・血液検査・尿検査・腹部エコーに加えて、必要なときに CTで一気に原因を絞り込むことで、判断のスピードと精度が上がります。
なぜ「即日の腹部単純CT」が腹痛に有用なのか?
即日の単純CT(造影なし)は、短時間で撮影でき、急性腹症の初期評価にとても有用です。特に以下のような状況で力を発揮します。
- 炎症の部位がはっきりしない腹痛
- 急に発症した強い痛みで 早めの治療判断 が必要なとき
- エコーでは見えにくい部位(腸管ガスの影響、深部臓器)を評価したいとき
- 体格(肥満)のためエコー検査での評価が困難な場合
- 虫垂炎のように時間とともに病状が悪化する可能性があり、緊急入院が望ましい場合
当院で診察したうえで、CTが有益と判断した場合に、連携病院で当日撮影→結果を踏まえて治療方針を決める流れを取ります。
「今日のうちに原因をはっきりさせたい」腹痛で、この体制が大きな安心につながっています。
単純CTが診断に役立つ“急性疾患”と特徴的な症状
ここからは、腹痛診療でよく問題になる代表的な疾患を、症状の特徴とあわせて紹介します。
1)急性虫垂炎(いわゆる盲腸)
痛みは、みぞおち〜おへそ周りの痛みから始まり、右下腹部へ移動することがあります。
発熱、食欲低下、吐き気
歩くと響く痛み、押して離すと痛い など
虫垂炎は、早期なら抗菌薬で治療できるケースもありますが、進行すると穿孔(穴があく)リスクが上がり、手術が必要になります。
CTで虫垂の腫大や周囲の炎症を確認できると、治療の判断が非常に明確になります。
2)大腸憩室炎
腹痛と発熱
便秘や下痢を伴うことも
憩室炎は、炎症の範囲や膿瘍(うみ)形成の有無で、外来治療か入院治療かが変わります。
CTは重症度評価に役立ちます。
3)尿管結石
脇腹〜背中の激痛(波がある痛み)
吐き気
血尿(尿に血が混じる)
単純CTは結石の描出に強く、見落としを減らせます。痛み止めや排石の方針を立てやすくなります。
4)腸閉塞(イレウス)・強い便秘による通過障害
お腹の張り、腹痛
嘔吐
便やガスが出ない
腸閉塞は原因(癒着、腫瘍、炎症など)と緊急性の判断が重要で、CTで腸管の拡張や閉塞部位が推定できることがあります。
5)消化管穿孔(胃や腸に穴があく)
突然の強い腹痛
お腹全体が硬い、動けないほど痛い
発熱、冷や汗、ぐったり
CTで腹腔内の遊離ガス(空気)などが見えることがあり、緊急対応につながります。
※胆のう炎・膵炎などは、エコーや血液検査、場合によっては造影CTが有用になることがあります。単純CTだけで完結しないケースもあるため、症状と検査結果を総合して最適な検査を選びます。
診療連携CTで適切な治療へつながった症例
連携体制が始まってから、CTにより診断が明確になり、治療のスピードが上がったケースが増えています。
ここでは個人が特定されないよう十分に配慮したうえで、代表例を紹介します。
ケース1:CTで急性虫垂炎と判断し、臨時手術へ
数日前からの腹痛と発熱で受診されました。腹痛はむしろ弱まってきていましたが診察所見から虫垂炎を疑いました。
症状の経過から 他の疾患の可能性 も考えられました。
連携で当日CTを撮影したところ、虫垂炎の所見が明確で、速やかに高次医療機関へ紹介。
結果として 臨時手術 となり、早い段階で適切な治療につなげることができました。
腹痛は「待っていたら自然に良くなる」こともありますが、虫垂炎のように 時間が勝負 になる病気もあります。
CTにより迷いが減り、判断が早くなるメリットを実感した症例でした。
ケース2:比較的稀な「虫垂癌」の診断につながった症例
虫垂の病気は虫垂炎が多い一方で、まれに腫瘍が隠れていることがあります。
腹部エコーや大腸カメラでは診断に至らないこともあり、CT検査は診断のカギになります。
3週間以上続く腹痛の精査のため行ったCTでは炎症だけでは説明しにくい所見があり、専門医療機関への紹介につなげた結果、虫垂癌の診断に至った症例がありました。
腹痛の程度が比較的軽くても深刻な病気が潜んでいることがあり、「もしかして」の気持ちを持つことが重要です。
受診の目安~こんな腹痛は早めに受診
- 痛みが強い/どんどん悪化する
- 発熱、吐き気・嘔吐を伴う
- 血便、黒い便が出る
- 右下腹部が強く痛い(虫垂炎が心配)
- 脇腹〜背中の激痛+血尿(結石が心配)
- 水分が取れない、ぐったりする
「救急車を呼ぶほどではないかも…」という腹痛でも、緊急性のある病気が見つかることがあります。
迷った時は早めにご相談ください。
ただし、ほんじょう内科で対応できない病状もあります。
動けないほどの強い痛みや歩けないくらいの強い症状の場合は、救急車を要請してください。
さいごに:札幌市豊平区で“腹痛の早期診断”を支えるために
腹痛は、診断がつけば治療方針が一気に定まることが多い症状です。
札幌柏葉会病院との連携による当日腹部単純CT は、虫垂炎や憩室炎、尿管結石などの鑑別をより確実にし、必要な方を速やかに治療へつなぐための大きな武器になっています。
これからも、札幌市豊平区平岸の地域医療の一員として、迅速で安心できる腹痛診療を続けてまいります。
※CT検査には放射線被ばくが伴うため、必要性を慎重に判断してご案内します。
※妊娠の可能性がある場合は必ずお申し出ください。

消化器病専門医・消化器内視鏡専門医
肝臓専門医・総合内科専門医
本城信吾 院長
南北線南平岸駅から徒歩6分、リードタウン平岸ベースにある消化器内科
ほんじょう内科
北海道札幌市豊平区平岸1条12丁目1番30号 メディカルスクエア南平岸2F
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