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胃ポリープ

ポリープとは、粘膜の表面が盛り上がってコブのように見える病変の総称です。胃にできたポリープのことを胃ポリープと言います。胃ポリープには良性のポリープと悪性のポリープがあります。悪性の胃ポリープは、すなわち早期胃がんです。胃癌については別ページで詳しく解説しています。ここでは良性のポリープについて解説していきます。

胃ポリープの症状は?

通常、胃ポリープは「無症状」です。バリウム検査や胃カメラ検査で見つかることがほとんどです。

しかし、良性のポリープでも表面からじわじわと出血していることがあり、貧血を引き起こします。貧血が進行すると「息切れ」「動悸」「疲れやすさ」「黒色便」といった症状が現れます。

また、胃ポリープが幽門という胃の出口の穴を塞いでしまうことがあります。ポリープが風呂桶の栓のように幽門を塞ぐため「ボールバルブ症候群」と呼ばれています。こうなると胃の中の食べ物や消化液が十二指腸に進めなくなるため「嘔吐」や「腹痛」の症状が出現します。

胃ポリープは将来「がん」になりますか?

ほとんどの良性胃ポリープは非腫瘍性ポリープであるため、治療をせずに様子をみても「がん」になることはありません。大腸のポリープが、「大腸がん」になりやすいのとは対照的です。

胃ポリープの検査は?

バリウム検査は胃の粘膜の凹凸を診断する検査です。このため胃ポリープの存在を診断するのには優れた検査です。しかし、ポリープの色調や表面の模様についての情報が得られないためポリープの種類を診断することができません。

胃カメラ検査は胃ポリープの存在を診断するだけでなく、ポリープの色や表面の模様まで観察することができます。このため良性と悪性を見分け、ポリープの種類を診断するのに優れています。悪性の疑いがあり内視鏡所見だけでは判断に迷う場合は「鉗子生検」という方法で胃ポリープの組織の一部を採取して顕微鏡検査を行うことができます。

良性の胃ポリープにはどんな種類がありますか?

胃底腺ポリープ

ピロリ菌感染がなく、慢性胃炎のない健康な胃粘膜にできるポリープです。多発することが多いです。若い女性や、逆流性食道炎の薬を飲んでいる人に多い傾向があります。胃がんに進展するリスクはありません。内視鏡所見で確実に診断できることが多く鉗子生検を必要としないことが多いです。治療の必要はありません。

過形成ポリープ

ピロリ菌感染があるとできやすい良性ポリープです。胃がんに進展するリスクはとても少ないです。多発することが多いです。過形成ポリープは出血による貧血やボールバルブ症候群を引き起こすことがあります。ピロリ菌の除菌治療を行うと徐々に過形成ポリープが小さくなることがあります。ごくまれですが2㎝以上の過形成ポリープには癌への伸展例が報告されています。症状を呈している過形成ポリープや大きくて胃がんへの伸展が危惧される過形成ポリープは内視鏡手術で治療されます。

腺腫性ポリープ

腺腫性ポリープは良性の胃ポリープの一つですが、早期胃がんへの進展が問題となります。また、内視鏡所見だけでは早期胃がんと見分けることがでず、鉗子生検を行って顕微鏡検査を行っても早期胃がんとの鑑別に迷うことが少なくないです。大きい腺腫性ポリープや、徐々に大きくなる腺腫性ポリープは内視鏡手術で治療されます。内視鏡治療をしない場合は、胃カメラを定期的に行って経過を監視します。

胃ポリープの治療は?

胃ポリープ治療はほとんどすべて内視鏡手術で行います。胃ポリープの内視鏡手術後は、「人工的な胃潰瘍」ができた状態となるため、出血や穿孔といった手術偶発症が起きることがあります。このため、胃ポリープの内視鏡手術では5~7日程度の入院が必要になります。

番外編 胃粘膜下腫瘍(胃SMT)とは

胃粘膜下腫瘍(胃SMT)は正常粘膜に覆われたコブのような隆起病変です。SMTには腫瘍性のGISTや平滑筋腫、非腫瘍性の脂肪腫や異所性膵などがあります。胃粘膜下腫瘍の多くが良性で治療を要しませんが、GISTという胃粘膜下腫瘍は大きくなると悪性化することがあります。肝臓に転移することもあるため注意が必要です。胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針はつぎの通りです。

2㎝以下
  • 経過観察します。
  • 1年毎に胃カメラを行います。
  • CTやエコー検査を行うことがあります。
 2㎝~5㎝
  • 超音波内視鏡下生検による病理診断を考慮します。
  • 悪性を疑う所見がある場合には手術治療を行います。
  • 悪性を疑う所見がない場合や病理診断ができない場合は経過観察します。
 5㎝超
  • 手術での病変切除を行います。
  • 近年「LECS」という胃カメラと腹腔鏡の協力で侵襲の少ない手術が行われるようになってきました。

 

 消化器病専門医・消化器内視鏡専門医

 肝臓専門医・総合内科専門医 

 本城信吾 院長

 

 

 

南北線南平岸駅から徒歩6分、リードタウン平岸ベースにある消化器内科

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